サーカス団

何処かで僕の掌が

砕けて

砕けて

くたびれた腰つきの女が

月を砕いて目ん玉の奥で飲み込んでいる

かさついた肌の残像に

砕けて

砕いて

奇妙な落書きは青い琥珀ビーズの増殖

誰もまってやしないさ!

薄く形のない人々の影

サリンの口径致死量はたったの0.65mg

大口をたたいて回り続ける大観覧車

見せ物小屋の小人達

声を

殺して

殺して

殺して!

わずかな(殺して)

隙間を(殺しちゃえ!)

ぬって生温い風と気狂いじみた記憶が

街の健全な道徳という道徳を

食い殺してゆく

あるいは間違えられた家庭訪問?

放物線を描いて

あとはまっ逆さま

ピエロの逆立ち

象の玉乗り

魂はゆらゆらゆれてころがって

いびつなサーカス団の旅は

いつまでも

どこまでも

終わることなくつづいてゆく

back