海に落ちた女の腕を引き上げる

波に揺られて小舟は踊る

私は警笛を鳴り響かせる機関車

空を見上げるとデネブにアルタイル

暗すぎて本は読めない

砂浜に地球は回転し

ヤドカリは海を目指す

静寂を産み落とすもの

砂浜に埋めた大切なもの

リズムも韻もなく

ただ連なっているだけだ

透き通るシャツに波の音

クーパーは昨日にガス欠

私達はずっとひとりひとりだ

沖に出る船

意味の羅列を追い求めることの無意味さ

本当の話

私はあなたと本当の話をしたい

別れの距離を測る大人達の哀しみ

うっすらと

うっすらと

熱く時間だけを濡らす頬

沈黙だけが鋭い叫び声をあげている

海で溺れた記憶

白い襞を

アワ粒を連ねる波

張りつめているもの

空気?

僅かな時間だが

私は現実に微笑んでみせる

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